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ひとつの企業でCTOを15年以上経験して見えてきた成長の軌跡。グリー藤本氏が向き合う組織と自身の変化

update : 2021.02.18
text : subaru nakazono

「ひとつの会社に長く勤めるのは、もちろんプラス・マイナス両方の面があると思います。でも長くいるからには、そうじゃなきゃできないことを意識する、過去にできなかったことを少しずつ改善していきたいですよね」

グリー株式会社CTOの藤本真樹氏は、ひょうひょうとした口ぶりで自身のキャリアをそう振り返ります。藤本氏は2005年にCTOに就任した後、15年以上もの間その要職を務めてきました。他の業界と比べると人材の流動性が激しいIT業界において、ひとつの企業でこれほど長くCTOとして働くのはレアケースです。

「就任して初期の頃はまだまだマネジメントスキルが未熟だった」と語る藤本氏は、どのように研鑽を続けることでCTOとしてのスキルを向上させてきたのでしょうか。今回は藤本氏がたどった成長の足跡についてインタビューしました。

グリー株式会社 取締役 上級執行役員 最高技術責任者
藤本 真樹


2001年、上智大学文学部を卒業後、株式会社アストラザスタジオを経て、2003年1月有限会社テューンビズに入社。PHP等のオープンソースプロジェクトに参画しており、オープンソースソフトウェアシステムのコンサルティング等を担当。2005年6月、グリー株式会社 取締役に就任。

みんなが怒って会議室から出て行ってしまった

−まずは藤本さんが2005年にCTOとして任命された経緯を教えてください。

その頃の私は、半ばフリーランスのエンジニアとしてさまざまなIT企業のシステム開発をお手伝いしており、グリーもその中の一社でした。手伝い始めたのは2004年の終わりくらいからで、まだオフィスもなかった頃ですね。

そのころPHPのコミッターなどもしていたので信用してもらえたのか、そのうちにグリーに迎えられて、2005年にはCTOという肩書きになりました。けれど、当時はCTOとしての中身がまったく伴っていなかった。ひどいものでした。

−中身が伴っていなかった、というのはどうしてですか?

グリーに入るまでは、エンジニアとしては基本的に単独で働く経験しかしてこなかったからですね。それにマネージャーとしての自覚もなく、ロールモデルになる人も教えてくれる人もいなかった。自分がパフォーマンスを出すというマインドが強すぎて、チームのために働く意識をまるで持っていませんでした。そりゃあ失敗しますよね。

−そのマネジメントスタイルではうまくいかないと感じるようになったのは、いつ頃からでしたか?

ターニングポイントになったのはたしか、エンジニアが15人くらい、全社員が30〜40人くらいの規模になった頃ですね。エンジニア組織の方向性について社長からいくつか注文がありまして、私は深く考えずに、その方針をエンジニアの定例みたいなミーティングで「こういう感じで行くから」とそのまま伝えたんです。す ると、その場でみんなが怒って出て行ってしまったんですよ。あのときのことはトラウマになっていますね。いやあ……。今思い出しても泣ける。みなさんごめんなさい。

−衝撃的な出来事ですね......。なぜ出て行ってしまったのでしょうか?

みんなの気持ちや、やりたいことを全く考えず、押し付けるような形をとってしまったからでしょうね。また、それまでに蓄積されてきた私への不満もあったと思います。表面的にはカジュアルに彼らと会話していたつもりでしたが、それは自分がそう思っていただけだったということですね。

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