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自身の価値を最大化させエンジニア人生をより良くする方法。堤修一氏が考える情報発信の戦略

update : 2021.02.03
text : subaru nakazono

「エンジニアは積極的に情報発信をした方がいい」

こうした言葉を見聞きしたことのある方は多いでしょう。情報発信することで新たな知識を学ぶきっかけが生まれ、さらなるスキルアップにつながります。また、アウトプットが誰かの目にとまり、システム開発や執筆、講演などの依頼に結びつくこともあるでしょう。

キャリア全般にわたり、情報発信の重要性を提唱してきたのがフリーランスエンジニアの堤修一氏。iOSアプリ開発のスペシャリストとして知られる彼は、効果的な情報発信を行うことで自身の価値を最大化させてきました。クライアント企業が堤氏のアウトプットを目にしたことで、案件化につながったケースが非常に多いのだといいます。

発信内容は、技術ノウハウからエンジニアのキャリア論に至るまで多種多様。利用する媒体も、はてなブログやnote、Qiita、YouTube、オンラインコミュニティ*など非常に幅広いのが特徴です。

内容・媒体選びのいずれも改善を続けてきた堤氏。今回のインタビューでは「これまでは技術のことをメインに発信してきましたが、今後は技術以外の面もアウトプットしていきたい」と、現在の心境についても語ってくれました。本稿では堤氏の行動の裏側にある考え方を紐解きます。

*… 月額課金制で、堤氏や他の参加者とのキャリア相談やフリーランス関連相談、技術的な相談などをオンライン上でできるコミュニティ。

フリーランスiOSエンジニア
堤 修一


大企業に合計7年間勤めた後、株式会社カヤックに転職。30歳を超えてからのプログラマーデビューとなり、当初はサーバーサイドエンジニアとして配属されるも全く役に立たず、すべての仕事をはがされ窓際エンジニアとなる。その後iOSエンジニアとして頭角を現し、フルスクラッチで30本以上のアプリを開発しリリース。カヤック退職後はフリーランスiOSエンジニアとして活動。2013年、シリコンバレーの500 Startupsのインキュベーションプログラムに参画。2016年から2018年はサンフランシスコのFyusion社にてシニア・プリンシパルエンジニアとしてH-1Bビザで勤務。著書多数、国内外カンファレンスでの登壇も多く、GitHubスターは合計2.4万以上を有する。

情報発信の大切さに気づいた原体験

−まずは堤さんのこれまでのご経歴についてお聞かせください。

新卒で入社したNTTデータ、続くキヤノンを経て、面白法人カヤック(以下、カヤック)の本を読んだことをきっかけに「スピーディに面白いものをつくる」という世界に興味を抱きました。それまでの合計7年間の社会人生活では、何ひとつつくったものを世に出すことはできませんでした。一方でカヤックは当時1年間で77個ものサービスをつくるということをやっていて、こんな世界もあるのかと衝撃を受けました。
一度は同社の面接にディレクターとして受けて落ちたものの諦めきれず、2度目の正直でエンジニアとして入社することに。30歳を過ぎてからの転身でした。入社してしばらくはなかなか活躍できなかったものの、徐々にiOSエンジニアとしてのポジションを築いていきました。その後は紆余曲折を経て、現在はフリーランスとして活動しています。

−堤さんはエンジニアが情報発信することの大切さを強く提唱されています。この価値観が形成されたのはいつ頃からでしょうか?

少なくともキャリア初期の頃は、それほど情報発信の重要性を認識していませんでしたね。自分がブログを積極的に書き始めたのはカヤック時代からです。しかし、これもはじめは前向きな気持ちだったわけではなく、嫌々ながらのスタートでした。

−嫌々ながら、ですか。

半期に1度の目標設定の場で、先輩エンジニアから「プレイヤーとしてやっていきたいならば、エンジニアコミュニティで影響力を持つくらいにならないと」という趣旨の言葉をかけられました。OSS開発に手を出すことをすすめられましたが、自分のソースコードを世の中に晒すなんて怖すぎる。では何をするかを考えたうえで、ブログを書くくらいならいいかと消去法的に選びました。情報発信が自分にとってプラスになるかもしれない、なんて思いは全くありませんでしたね。

−何かのきっかけがあって、その気持ちが変わったのですか?

「自身の勉強になる」「承認欲求が満たされる」といったところにメリットを感じるようになりしばらく発信を続けていたのですが、キャリア面や仕事面での具体的な良いことが初めて起きたのは、書籍の執筆依頼が来たことです。

QiitaのAdvent Calendarに参加して、過去に自分が執筆した記事を「iOSの記事100本まとめ」という感じで掲載したところ、すごくバズったのですよ。それを出版社の方が目にしたことをきっかけに執筆依頼をいただきました。いつか本を出せたらいいなという憧れはあったので、願ったりかなったり。承認欲求が満たされるといったふわっとしたことじゃなく、仕事をすると対価をもらえるのと同じように、発信には実益があるという原体験になりましたね。

カヤックを辞めた後、2014年にフリーランスとして本格的に活動し始めましたが、その頃にはすでに自分のアウトプットをきっかけに仕事の依頼を受けるということが何度も発生していました。その後もずっと、情報発信をして仕事につなげるというスタイルでやっています。

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