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エンジニアは何を基準に技術選定すべき? エムスリーのCTOに判断の指針を学ぶ

update : 2020.07.08
text : subaru nakazono

時価総額は3兆円(*)を超え、「医療業界の巨人」とも称されるエムスリー株式会社。国内の臨床医9割以上を会員に持つ医療情報プラットフォーム「m3.com」や事業の柱である医療ポータルサイト「MR君」など数多くの医療サービスを提供する同社は、高い技術力を持つ企業としても知られています。

エムスリーでは、技術選定において多種性が重視されています。また、エンジニアの自主性を重んじ、トップダウンではなく各チームが採用技術を決めることも大きな特徴です。こうした体制下でサービス開発を行うには、エンジニアが技術の採否を適切に判断できる必要があります。では、選定の審美眼を磨くには、いかなる方法が有効なのでしょうか。

今回は、矢崎氏にこれまでの経験やエムスリーの開発組織のあり方を語っていただきながら、エンジニアが身につけるべき技術選定の指針を可視化していきます。

* … 2020年7月時点。日本経済新聞参照。

矢崎 聖也

各種アルバイト、大学発ベンチャー、小規模SIer、楽天、リクルートを経て2018年にエムスリーに入社し、現在CTO。過去に、大小様々な立ち上げ・拡張・作り直しプロジェクトを経て、RPC やトランザクショナルな KVS のフルスクラッチ実装、XHTML サブセットのレンダラー、RDBMS のマルチマスター冗長化、各種webフレームワーク・ライブラリ設計実装、インフラや専用線の構築運用などに携わる。まとまった業務経歴としてはバックエンド系が多いが、実は最初に使ったプログラム言語は JavaScript (昔の Dynamic HTML) でありフロントエンドも嫌いではない。 コンピューティング技術への広い興味と雑多な経験を活かすべく普段から社内 Slack の各所に出没しつつも「権威ではなく1技術者のロールの CTO」として手を動かして開発している。

コンピューターに没頭し続けた学生時代

−まず、矢崎さんがプログラミングを始めた経緯について教えてください。

私は幼い頃からコンピューターが大好きで、小学生の頃に自宅のパソコンを触り始めました。ですが熱中し過ぎた結果、「勉強しろ」と親にパソコンを禁止されてしまって(笑)。仕方がないので、パソコンの有料体験の展示場、今で言うインターネットカフェのはしりのような場所に入り浸るようになりました。プログラミングをするようになったのもその頃で、始めはJavaScriptを書いていましたね。

−なぜJavaScriptだったのですか?

展示場のパソコンにソフトウエアをインストールするわけにもいきませんし、JavaScriptのプログラムならばブラウザさえあれば動きますから。パソコンにプリインストールされているメモ帳とInternet Explorerで、JavaScriptを書いて動かす。それが私のプログラミングの原点です。ところが、展示場に通うのにもお金がかかるため、だんだんお小遣いが足りなくなってきました。

−困りましたね。どのように解決されたのですか?

地元の方々に「パソコンを教えます」と声をかけて、レッスン料をいただくようになりました。

−すごい行動力ですね!

プログラミングをしたいという夢を実現するために、ものは試しにやってみました。稼いだお金で、また展示場に入り浸ってJavaScriptを書くという毎日を過ごしましたね。

その後も学生時代からプログラミングの知識を活かして、さまざまな開発に関わりました。例えば大学在学中は、聴覚障がい者向けの教育アプリ開発に携わって、コンテンツ描画の自由度を高めるためガラケー向けにブラウザのようなものを独自実装したり。基幹系システムの開発に携わった際には、今で言うgRPCに似たRPC処理系やトランザクション機能を持ったKey-Value Storeをスクラッチで開発したりと、やりがいのあるチャレンジができました。

−なぜ、学生時代にそれほど高難度のシステムを開発できたのでしょうか?

私は当時からコンピューター技術の裏側に興味があり、ブラウザやOS、各種データストアなどがどのような仕組みで動いているのかをよく調べていたのです。また、プログラミング言語も多種多様なものを習得していました。そういった調査や経験をしてきたからこそ、難易度の高いシステムの設計や実装ができたのでしょうね。もっとも調査というより、楽しいから調べていたら自然と詳しくなったという方が実態に即していますが(笑)。

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