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グローバル化推進のため、私たちは何に取り組むべきか? 外国人エンジニアが語る日本の企業に必要なもの(前編)

update : 2020.05.15
text : subaru nakazono

日本の人口は減少を続け、国内の市場規模は縮小しつつあります。多くのソフトウエア会社は、海外展開を視野に入れたプロダクト成長戦略を描く必要に迫られている状態です。また、エンジニアの求人倍率は非常に高くなっており、日本人だけではなく外国人も候補としたエンジニア採用の必要性が生まれてきています。

いわば、日本のソフトウエア会社やエンジニアが置かれている環境は、グローバル化の波が押し寄せているのです。そのような状況下において、海外で勝負できるプロダクトを発案し、さまざまな国籍のエンジニアが働きやすい環境を整えるには何が必要なのでしょうか。

大手ソフトウエア会社の日本法人での勤務経験を持つJuan Camilo Corena Bossa(以下、カミロ)氏と、Sansan株式会社のデータ統括部門DSOC(Data Strategy & Operation Center)に在籍するJuan Nelson Martínez Dahbura(以下、マルティネス)氏に、グローバル化推進のために日本の人々が取り組むべきことを、前後編の2回にわたって伺いました。

マルティネス(写真左)

エルサルバドル共和国出身の経済学者。母国で経済学部を卒業し、2年間銀行に勤めて金融危機分析を行なった。2011年に来日し、2018年に慶應義塾大学経済学研究科博士課程を修了した。エンジニアとして日本のフィンテック業界で3年間活躍し、昨年2月にSansan DSOC R&Dに参加した。現在経済学やウェブ技術を用いて出会いからイノベーションを生み出そうとしている。

カミロ(写真右)

コロンビア共和国出身のソフトウェアエンジニア。2010年に来日し、2014年に慶應義塾大学理工学研究科博士課程を修了した。専門は符号理論やコンピューターネットワークであり、実務経験の分野はアルゴリズムデザイン、セキュリティーとプライバシー。ゲーム理論、意思決定最適化、投票システム開発のようなアルゴリズムの社会的な応用に関心を持つ。

両氏が来日した理由

まずは、お二人の出身国や経歴についてお聞かせください。

カミロ:私はコロンビア出身で、大学を卒業してからは3年間大学の教員を務め、アルゴリズムや暗号理論、符号理論などを研究しました。その後、日本に渡って慶應義塾大学の博士課程に入学。在学中に日本の情報通信会社で研究員として働き、大学卒業後はアメリカのソフトウエア会社の日本法人で働きました。現在は同じ会社の米国法人に勤めています。

なぜ、日本の大学で学ぶことを選ばれたのでしょうか?

カミロ:日本の大学は私にとって魅力的な点が多かったからです。コロンビア人は、ヨーロッパやアメリカの大学で学ぶことが多いのですが、現在アメリカの大学の学費は私立の場合に1年あたり4万ドル近く、非常に高額です。日本の大学のほうが学費は安価ですし、学生がアルバイトをすることも認められています。それから、私はもともと日本の文化に興味があり、漫画やアニメなどのサブカルチャーが大好きなんです。歴史や風土もとても奥が深く、一度暮らしてみたい国でした。

日本をとても愛してくださってうれしいです。マルティネスさんはいかがでしょうか?

マルティネス:私はエルサルバドルという、中米で一番小さい国の出身です。母国語はカミロさんと同じスペイン語ですね。祖国の大学で経済学部を卒業して、2年ほど銀行でデータ分析の仕事に携わりました。

ですが、以前から私は外国で勉強したいという考えを持っていたため、思い切って祖国を出ることを決めました。最初の候補はアメリカでしたが、地理も文化もエルサルバドルと近くあまり面白みがない。いっそ、言葉も文化もわからないような国に行きたいと思ったんです。そんなとき日本の文科省の奨学制度を知りました。応募したところ合格し、経済学を学ぶために来日しました。

大学時代はいろいろなアルバイトをしました。日本国際協力機構の研究所で1年ほど働いた後、インターンとして別の企業でWebエンジニアの仕事をして。そこで正社員に誘っていただいたので就職しました。非常にやりがいのある仕事で、毎日が楽しかったです。

でも、2年くらい正社員として働きながら博士課程を修了するころになると、やはりこれまで取り組んでいたデータ分析の仕事に携わりたいという気持ちが湧き上がってきました。さまざまな求人を探していたところ、Sansanの求人を見つけたんです。

それがSansanに入社されたきっかけなのですね。

マルティネス:その求人では、データ分析のスキルを用いて社会科学の研究を行う、DSOCの社会科学分野データサイエンティストを募集していました。業務内容が自分の興味関心に合っていて、ぜひこのチームで働きたいと思ったんです。

文化や宗教の異なる人々が、一緒に楽しめる仕組みを

今回のインタビューのテーマは、グローバル化推進のために日本の企業が取り組むべきことです。日本で働いてみて、お二人はどのような点を改善すべきだと感じられましたか?

マルティネス:私たち外国人から見ると、海外の企業と比べて日本の企業は、社員がプライベートと仕事のバランスをうまく取れていないように感じます。

例えば日本人は、就業後の飲み会では他のメンバーと盛り上がりますが、業務中はみんな黙々と仕事に没頭して最小限のコミュニケーションしかとりません。一方海外では、もちろん業務には真面目に取り組みますが、楽しみながら仕事をする傾向が強いですね。職場のメンバーとも友人になりますし、業務中でも密にコミュニケーションをとります。

カミロ:日本では、社員同士が親睦を深める手段として飲み会が開催されるケースが多いですが、アメリカの企業では飲み会はほとんど開かれません。宗教の関係で、お酒が飲めない人もいますし、食べられるものも皆異なりますから。企業としてグローバル化していくには、さまざまな国の文化や食事について考えていく必要がありますね。

確かにシリコンバレーの企業などでは、ビーガンやハラール、ベジタリアン向けのランチを提供するなど、多種多様な文化・宗教の方への配慮があるように思います。

マルティネス:親睦を深める手段を飲み会に頼りすぎてしまうと、参加しない人やアルコールを飲めない人は疎外感を受けてしまうかもしれません。社内で部活を立ち上げて多くの人が楽しめるようにしたり、ランチを一緒に食べる習慣をつくったり。そうした少しの工夫があるだけでも、外国人エンジニアが働きやすくなるように思います。

日本で働いたことのあるお二人だからこそ話せる、グローバル化推進のための知見。後編ではより詳細なノウハウを、余すところなく語っていただきます。続きは会員登録をしてご覧ください。

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